箱庭のクックロビンのネタバレ感想&考察!ドロッセルの正体は?

2019年6月27日

『誰がコマドリを殺したの?』

コマドリが訴える真実とは────


 

箱庭のクックロビンの全エンディングを解放しました!

アプリ版とSWITCH版がありますが、アプリ版をプレイしました。アプリ版もSWITCH版もストーリーに違いはありません。アプリ版だと課金で購入になる追加シナリオが、SWITCH版だと初めから付いてきます。アプリ版は基本無料でプレイできます。

ゲーム方式としては選択型のノベルゲームです。選択肢によって『真実』と『狂気』のゲージが増減して行き、バッドエンド含めて8つのエンディングがあります。

世界観はダークゴシック&微ホラー。エンディングによっては微妙にサスペンス要素もありますが、驚かし系や心霊系のホラーではないので怖いのが苦手という方も大丈夫だと思います。血みどろな『人狼ADV』や『かまいたちの夜』に比べれば全然怖くないかと。『歪みの国のアリス』が好きだった人はドンピシャでハマる気がします

プレイするにつれて次のストーリーに進むための【体力】消費量が大きくなっていくので、溜まるまで待ってらんねーよ!って人は数百円課金しましょう。物語に集中出来るし日を空けずに一気にエンディングを見られるので、ストーリーの背景が理解しやすいです。そもそも神ゲーなので無料プレイが申し訳ない( ̄ー ̄ )

それではネタバレと解説をしていきます。


 

コマドリは何者?コマドリ誕生まで

コマドリの正体は『主人公ロビンが流産した赤ちゃんの魂(霊)』です。

ではコマドリという存在はどのように創り上げられたのか?

主人公のロビンは孤児院で育ちました。その孤児院ですが、子供達を金持ちに売るような場所でした。当時ロビンは13歳。そんな幼女を当時孤独に暮らしていた旦那様(ヴァルトシュタイン卿)は気まぐれに自分の屋敷に連れ帰ります。(ちょっと危ない匂い…)

ロビンのお陰で次第に、冷たく閉ざされていた旦那様の心が解けていきます。孤独だった旦那様は次々と新たな住人を迎え入れて、屋敷も賑やかになっていきます。屋敷の住人はみんなロビンが大好きで、仲良しです。リネットはロビンに恋愛感情を抱き始めます。

やがてロビンと旦那様は惹かれ合うようになり、夫婦になりました。(つまりリネットの恋は終わります)

そしてロビン(16歳)妊娠。仕立て屋のスカラは赤ちゃんに着せる服を作ったり、料理人のジャックは離乳食をどうすればいいかと悩んだり…、屋敷の使用人達はみんなハッピームードで赤ちゃんの誕生を待ちわびます。

ところがある日、ロビンは流産してしまうのです。

コマドリの真実

出血しているロビンを発見したのはモスカ。慌てて医師のポワソンを呼びに行きますが…赤ちゃんは助かりませんでした。これらは冒頭のマザーグースの歌でも読み取れますね。

ではなぜコマドリは死して尚も屋敷を歩き回っているのでしょう?

コマドリを殺したのは誰?

箱庭のクックロビン

つまり、コマドリを殺したのは他でもない主人公のロビン、ということになります。

単に死産で殺した、というだけでなく。コマドリの存在をなかったことにする、コマドリの記憶を忘却する、ということは間接的にコマドリのことを何度も殺していることにもなる訳です。まあ、ロビンの記憶を消したのは旦那様なんですが・・・。

ただ、ロビン自身もコマドリの死を受け止めきれずに狂気に身を落とす訳です。

事実を受け入れず、直視することを避け、偽りの幸福に委ねる行為もまた『コマドリを殺す』ことになるのではないでしょうか。

コマドリの魂は旦那様の魔術により屋敷に囚われて徘徊し続けています。

この世に生を受ける前に死んでしまったコマドリの存在は、屋敷の誰も認識できていない訳です。だからこそ母体であった母親のロビンにしかコマドリは見えないのです。

ヴァルトシュタイン卿の哀しい愛

ヴァルトシュタイン卿

流産によりロビンは発狂。夜な夜なコマドリを探して屋敷を徘徊するようになります。

このままではロビンまで死んでしまう!

そう考えた旦那様は、ロビンの記憶を消去する薬をロビンに打ちます

お屋敷にきてから流産してしまうまでのロビンを葬ったのです。

薬を打たれたロビンはお屋敷に来てからの記憶を全て失った状態になり、お屋敷へ奉公する場面からのスタートになる訳ですが・・・バッドエンドでも分かるように、ロビンが真相に辿り着こうとする、つまり、また苦しい記憶を思い出しそうになるたび、旦那様に忘却薬を打たれて記憶を消されるという果てのない行為が何度も繰り返されていく訳です。

屋敷のみんなもまるで初めてロビンと会うような演技をして、旦那様の企みに合わせます。幼いミールとレーグも『ロビンの忘れんぼごっこ、いつまでやるんだろうねー?』と呟いています。

そして旦那様はコマドリを復活させる儀式のため、魔術でこまどりの魂を『籠』である屋敷に繋ぎ止めます。

旦那様の魔術

 

詩とキャラクターの関連性

ゲームの各章冒頭に登場する詩は、コマドリのお葬式を表しています。

お屋敷の住人達の行動が詩とリンクしており、住人達の名を外国語にすると詩に登場する生き物と結びつきます。

ロビン

コマドリ流産
ロビン 誰が駒鳥 殺したの
それは私 とスズメが言った
私の弓で 私の矢羽で
私が殺した 駒鳥を

※ロビン=スズメ目ツグミ科の小鳥

モスカ

流産の第一発見者
モスカ  誰が死ぬのを見たのだろう?
それは私と蝿が言った
私の眼で 小さな眼で
私が見つけた 骸を見つけた

※モスカ:蝿のイタリア語

ポワソン

コマドリの死亡確認
ポワソン 誰がその血を受けただろう?
それは私と魚が言った
私の皿で 小さな皿で
私が取った その血を取った

※ポワソン:魚のフランス語

スカラ

死装束を作成
スカラ  誰が死装束を作るだろう?
それは私とカブトムシが言った
私の糸で 私の針で
私が作ろう 死装束を作ろう

※スカラベ:英語のカブト虫

オウル

 誰がお墓を掘るだろう?
それは私と梟が言った
私のシャベルで 小さなシャベルで
私が掘ろう 墓穴を掘ろう
オウル

※オウル:英語のフクロウ ※小さなシャベル=スプーン

ジャック

誰がなるか 牧師になるか
それは私 とミヤマガラスが言った
私の聖書で 小さな聖書で
私がなろう 牧師になろう
ジャック

※小さな聖書=レシピ本

※ニシコクマルカラスの英名が:jackdaw(ジャックドー)。ジャック=カラスと推測

レルヒェ

誰がお付きをするのだろう?
それは私とヒバリが言った
もしも闇夜でないのなら
私がなろう お付きになろう
レルヒェ

※レルヒェ:ドイツ語のひばり

リネット

誰が運ぶか 松明(たいまつ)を運ぶか
それは私 とヒワが言った
すぐに戻って 取り出して
私が運ぼう 松明を運ぼう
リネット

※リネット:英語のムネアカヒバ

旦那様

誰が立つか 喪主に立つか
それは私 とハトが言った
愛するひとを 悼んでいる
私が立とうよ 喪主に立とうよ
旦那様

鳩と旦那様の関連が不明なのですが、喪主という役割上、旦那様と推測。

ちなみに旦那様の名前であるヴァルトシュタインはドイツ語で「森の石」の意味。ベートーヴェンの曲が有名です。

ミール&レーグ

誰が担ぐか 棺を担ぐか
それは私 とトビが言った
夜を徹してで ないならば
私が担ごう 棺を担ごう

 


誰が覆いを運ぶだろう?
それは私とミソサザイが言った
私と妻の 夫婦二人で
私が運ぼう 覆いを運ぼう

ミール

ロビン

誰が歌うか 賛美歌を歌うか
それは私 とツグミが言った
藪の木々の 上にとまって
私が歌おう 賛美歌を歌おう
ロビン

※ロビン=スズメ目ツグミ科の小鳥

ロビンはコマドリを殺した側(スズメ)としても、コマドリの死を嘆く側(ツグミ)としても描かれています。

ボヴィ

誰が鐘を鳴らすだろう?
それは私と雄牛が言った
なぜなら私は力持ち
私が鳴らそう 鐘を鳴らそう
ボヴィ

※ボヴィーノ:イタリア語の牛

 

ドロッセルは何者?その正体は?

このゲームを理解するためのポイント。ドロッセルは3人登場します。

  1. ロビンが流産してしまった『ドロッセル』別名『コマドリ』
  2. ハッピーエンドで登場するロビンの娘『ドロッセル』
  3. 開かずの扉の奥に潜む謎の『ドロッセル』

謎は3の、開かずの扉の奥にいるドロッセル。

このドロッセルの正体は、ロビンから切り離されて閉じ込められた、『コマドリが死ぬまでのロビンの記憶』のことです。

そう、ロビンはずっと自分自身に問いかけていたのであって、3のドロッセルは初めから物質的には存在していないのです。

なので終盤、ロビンが扉を開けた先には誰もいませんでした。人が暮らしていた形跡さえありません。そしてその開かずの部屋は生まれてくる筈だった1の『ドロッセル』のために用意されていた子供部屋でした。

3のドロッセルはロビンにヒントを授けてくれます。でも真実は話しません。それは『旦那様にとって都合が悪いから』とドロッセル自身が言っています。ロビンの心がまた崩壊してしまうことを危ぶんでいる旦那様は、記憶を取り戻すことを望んでいません。だからこそ、旦那様の愛情を理解している本来のロビンの記憶・・・つまりドロッセルは、ロビンにはヒントしか与えられないのです。

選ぶのはロビン自身であり、何が正しいかを決めるのもロビン自身でなくてはいけません。

真実をどう捉えるか、それは他人が決めるものではないのです。

 

『正しくてもいい。間違っていてもいい。』

『ただ一つ、後悔しない道をえらべたなら』

『それが”私”にとっての────。』

 

メイド長のレルヒェと旦那様の関係

メイド長のレルヒェ、彼女は旦那様の実の母親です。

レルヒェは昔、お使えしていた屋敷の主人と不倫してしまいます…。

結果、屋敷の女主人が発狂。レルヒェを屋敷から追い出し、不倫した夫(ヴァルトシュタイン卿の実父)を殺害し、レルヒェの息子であるヴァルトシュタイン卿は屋敷に居続けることは許されますが、硫酸をかけられて顔を失ってしまうのです。

この負い目から、レルヒェは実の息子である旦那様(ヴァルトシュタイン卿)に超忠誠を尽くすわけですが、旦那様はレルヒェの正体が実の母であることを知りません。

レルヒェが旦那様の母親であるという証拠は3つあります。

【1】エピローグのレルヒェとドロッセルの会話。

レルヒェ:『旦那様が赤ちゃんの頃にそっくりですよ』

ドロッセル:『パパの赤ちゃんの頃を知ってるの?』

レルヒェ:『秘密ですよ』

・・・レルヒェが旦那様にお仕えするようになったのは、旦那様がすでに大人となってからことです。屋敷に突然やってきたレルヒェは旦那様に必死に頼み込み、お仕えすることになりました。旦那様の赤ちゃん時代を知っている筈がありません。

旦那様の顔を知っているのは、レルヒェこそが生き別れになった旦那様の実の母親だからです。

【2】ドロッセルとレルヒェの瞳の色

顔が隠れていてエンディングでも明らかにはされていない旦那様の容姿ですが、ロビンの娘であるドロッセルの容姿に注目してみてください。ロビンと何もかも瓜二つのドロッセルですが、瞳の色だけがロビンのオレンジ色とは違っていて、薄紫色なんです!つまり旦那様の色も同じ薄紫色であるということが予想されます。

そして同じ薄紫の瞳といえば…メイド長のレルヒェ!

【3】異常なまでの忠誠心

追加エピソードの中では旦那様とレルヒェの関係を示唆するような会話がありました

旦那様『レルヒェ、なぜお前は俺に尽くす?』

レルヒェ『貴方がどれだけ非難され、蔑まれ、否定されようとも、私だけは肯定します』

レルヒェ『それに理由などはありません』

・・・旦那様に対して異常なまでの忠誠と絶対的な肯定の在り方を貫くレルヒェ。旦那様は疑問を投げかけますが、レルヒェはそれに理由などないと言います。

旦那様が顔を失ったのはレルヒェの不倫が原因です。けれどすでにレルヒェの抱く想いは、旦那様への罪悪感を通り越して、母の無償の愛に転化しているのでしょう。

リネットの葛藤と恋心

屋敷の住人達はロビンを想うゆえに旦那様の企みに協力しますが、リネットはロビンを別の意味で想っているからこそ、他の住人とは違って「こんなのは狂ってる、おかしい」と考えてしまいます。

記憶を失っているロビンはリネットとの思い出まで失ってしまっています。そんなロビンを初めは他人だと無理に思い込もうとして冷たく接しますが、やがてロビンへの気持ちと葛藤はリネットの中で抑え切れなくなってしまいます。

何度も何度も記憶をリセットされるロビン。繰り返される道化のような芝居劇。

そんなロビンを見ているうち、最終的にリネットはロビンの脱走のために手を貸しちゃうわけですよ・・・。

旦那様の愛が『愛するロビンのためなら真実なんて歪ませて夢の世界で守ってやる』って感じの愛なら、リネットの愛は『昔のロビンに戻って欲しい』と思う反面『旦那様のことを忘れてしまっている今のロビンなら自分のことを見てくれるかも』という欲を捨て切れなかったり、でもその欲求は『忠誠を尽くしている旦那様を裏切るなんて!』という葛藤の中に常にあって。すごく少年っぽい正統派の恋愛って感じがします。

バッドエンドの一つでは、リネットはロビンと共に屋敷を抜け出して駆け落ちしています。

居場所を特定されないように、足のつかない旅芸人の一座として。

何も知らないままのロビンはリネットとの暮らしで幸せそうにしていますが、リネットはロビンとの生活に幸せを感じながらも、旦那様への裏切り行為とロビンに真実を話せずにいることに対して、一生拭うことのできない罪悪感に永遠に苦しめられることになるのです…。

 

エピローグ〜ドロッセルの日記〜

ハッピーエンドでは旦那様とロビンの間に生まれたドロッセルが、屋敷の住人たちとほのぼのとした日常を繰り広げていることがドロッセルの日記からわかります。


旦那様は娘にベタ甘で何でもお願い事を聞いちゃう親バカパパに。

勉強が苦手で字も読めずにいたモスカは、ドロッセルに勉強を教えています。

不器用なボヴィはドロッセルに手伝ってもらいながら押し花を作っています。

レルヒェはドロッセルにレディとしてのマナーを教えています。

スプーンもフォークもどれも一緒だと愚痴るドロッセルに、ミールとレーグは同意しています。

リネットはドロッセルのダンスの練習相手に。イケメンに成長したであろうリネットに、ドロッセルはドキドキです。

ポワソンはドロッセルからじいやと呼ばれています(笑)風邪を引いたドロッセルに薬を飲ませています。

スカラはドロッセルに白いフリルのドレスを作ってあげています。


ドロッセルがたまにみる夢に注目してください。

その夢はドロッセル自身が一人で屋敷の中をさまよっている夢。

でも誰もドロッセルのことは見えません。

唯一、ロビンだけがドロッセルを認識しています。

でもロビンはドロッセルをみると逃げて行ってしまいます。

・・・これは『コマドリ』の魂の記憶ですよね。

コマドリの魂が転生してドロッセルとして生まれてきたと考えていいと思います。

旦那様の魔術の成功?それとも単なる偶然でしょうか。

 

何にせよエピローグではみんな幸せそうで本当によかった!

箱庭のクックロビンは久々に感動した良作神ゲーでした!

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みぶた

ぶひぶひ!(ごはん!ごはん!) ブログ主に飼われている子豚。メス。たまに気まぐれにブログを書いてご主人をお助けしているつもりだが、邪魔しているだけ。 特技は食べる・寝る・遊ぶ。たまに雑学ネタをブヒッと提供。